移転の話 続
製造所が別の場所にかわる。
その時に「くさわけの方向性を示せるような雰囲気を出したい」、そう考えていました。
「かっこいい空間」、ともちょっと違うし、「おしゃれな空間」はだいぶ違う。
建物が新しいとか、古いとかも関係なく。
くさわけが進みたい方向とは「新しさも古さも関係のない場所」です。
新しさに価値を見出していると、それはいずれ古くなり当初の価値は必ず薄れる。
古いから良いのだ、というのはすぐに懐古主義的な場所に陥りやすい。
また最近立ち上げたブランドが故に当然歴史もないので、必然的にこのようなスタンスをとる。
有難いことに数十年続いたとしてもそこであまり価値を判断しないようにしたい。
設計士さんはそのあたりのこともふまえて設計してくださった。
古い建物ではあるが、古さを強調するのではなく温泉街という場所に馴染むよう建物の良さを引き出してくれた。
無理に「昔風」に仕上げるわけでもなく、現代風に仕上げるわけでもない。
いつの時代にみても単純に「いい場所だ」と感じると思う。
これはくさわけの商品づくりにもそのまま通ずる。
「あの時に流行っていた味」、「最先端!」そういうものにならないように。
「最先端」というのは近い様で微妙にずれている。
先端の、進んだ部分のことをやりたいのではなく「だれもやっていない部分をやりたい」。
「それを最先端だと言うんでないの?」と言われればそうかもしれない。
だけど自分の中では先端に行くのではく、みんなと同じ並びにいるけど誰も走っていないコースを見つける。
ずらして考える。
屁理屈か。
勿論、過去に流行していた味を持ってくることもない。
そんなパターンがあるのかどうかもわからんけど。
そして「○○っぽい」にもならないように気を付けている。
バラの香りはバラの香りであるように。
ヒノキの香りはヒノキのかおりであるように。
くさわけの香りはくさわけの香りでありたい。
香りを分解すればそこには個別の植物がいるし、多くの人はそれが何なのかということに思考を巡らせ、体感することに愉しみを感じているのだとも思う。
だけどそんなことを考える余地が無いぐらい、考えなくても感じるだけで愉しめるぐらいまとまりのある、魅力的な香りを作りたい。
これは完全に自分のエゴみたいなものなので愉しみ方はご自由に。
自分ではそう考えている、ということです。
何度も言いますが、今週末はいつもお世話になっている FOOD&COMPANYにて試飲会を行います。
12日は代官山店
13日は学芸大学店
共に13時から18時です。
よろしくお願いいたします。
今日もありがとうございました。